イギリスで90歳の画家から教わったこと  〜ダイバーシティと観察眼について〜

こんにちは、ライターの山野です。

2月の中旬から、イギリスにある「シューマッハ・カレッジ」という
大学院へ学びに来ています。

大学院と言っても、1ヶ月ほどの滞在で、
シューマッハ・カレッジが定期的に開催している、
短期プログラムへ参加するためです。

「シューマッハ・カレッジって、どんなところ?」と
気になる方は、ぜひWEBサイトをご覧頂ければと思いますが、

今回、Sustainable Enterpriseというタイトルで、
多様性(ダイバーシティ)や、複雑性(コンプレクスティ)の中で
私たちのコミュニケーションや、自分自身との向き合い方を
考え直してみようというコースがあり、

これまでの学びの棚卸しと、次なるチャレンジに向けて
ガソリンを入れる意味でも、参加を決めました。

(コースの詳細について、ご興味ある方は以下より)
https://www.schumachercollege.org.uk/courses/short-courses/enterprise-live-2018


(写真:シューマッハ・カレッジ正門にて)

さて、前置きが長くなりましたが、

アメリカ、イギリス、デンマーク、ブラジル、フランス、モロッコ、
そして日本と、国籍、バックグラウンド、年齢の異なる
15人の布陣で始まった今回のコース、

ちょうど、1週目が終わったということもあり、
振り返りながら、発見したことを書いてみたいと思います。

文字通り「ダイバーシティな」環境に順応していくのは、
楽しくもあり、タフでもある5日間でしたが、

週の真ん中に、Phillip Suttonさんという
90歳の画家(イギリス人)の方を招いたレクチャー、
そしてデッサンを描くというセッションがありました。

プロとして68年間、絵を描き続けているという彼の
言葉は静かに力強く、思わず聞き入ってしまったのですが、
その中でも、印象に残った話があります。(以下引用)

「例えば、森の中にある木をデッサンの対象として描いている時
自分がその木を見ている角度とか、時間の経過とともに日の当たる
角度は少しずつ変化していくんです。ズレてくるとも言えます。」

「だから私の絵は、どこか、対象物そのもの(リアリティ)との
乖離があるんです。形もそうだし、色もそうです。」


(写真:中央の赤い服がPhillipさん)
http://www.philipsuttonra.com

彼は乖離があること自体を、おそらく否定はしておらず、
むしろ、それが彼の絵の個性にさえなっているのですが、

いくつかの対話を重ねる中で、彼が続けたのが

「対象物をありのままに見るということは、とても難しい。
ここに水の入っているグラスがありますが、照明が反射する
光なんかは見落としやすいと思います。」

この彼の話は、次のデッサンの実践の中で
身をもって体感することになりました。

1時間リンゴ、バナナと向き合いながら、
描いて、実物と見比べて、また描いてと繰り返すのですが、
形も色も、なかなか上手くはいかないものです・・・


(写真:クラスのみんなが描いたデッサン)

この一連の過程を、違い、個性、多様性を生かすという
ダイバーシティ推進の文脈に置き換えて思ったのは、

私たちは、つい「自分の見たいように」
もしくは「見たいところだけを」切り取って、
人や出来事を見てしまいがちだからこそ、

自分の中にある、そんな当たり前や前提に気づき、
時にそれを捨てることこそ、ダイバーシティ推進が
花開く第一歩ではないかということです。
(言うは易し、行うは難しですが)

「営業力が強いと評判の会社から転職してきた中途社員、
実は企画や、分析力に長けているのではないか?」

「思い切って新人に仕事を任せてみたら、思っていたより、
主体性や、やり切る胆力があるように感じる」

ビジネスシーンに置き換えても、
言えるところは、少なからずあると思います。

そういう意味では、ダイバーシティ推進というのは
たしかな観察眼と、じっくりと人や物事と向き合う
忍耐力が求められるものであり、
決して企業にとって特攻薬ではないかもしれません。

だからこそ、その土壌としての人材開発、組織開発とは、
切っても切り離せないものだと、改めて感じるわけです。

さて、いつの間にやら長くなってきましたので、
今日はこのあたりで切り上げたいと思いますが、

まだ始まったばかり。シューマッハ・カレッジ続編を、
引き続き「発見の熱量」とともに、書いていきたいと思いますので、
よろしければ、ぜひご覧下さい。

(次回に続く)


■プロフィール
山野 靖暁(yasuaki yamano)
1991年生まれ/大阪府出身
株式会社シェイクに新卒で入社後、研修開発やコンサルティング営業に従事、
多くの企業の人材育成、組織開発に携わり、株式会社NEWONEの創業期にも関わる。
2018年1月シェイク退職後、現在はイギリスの大学院シューマッハカレッジに留学、
多様性(ダイバーシティ)の中での、コミュニケーション、コラボレーションの
在り方やプロセス設計について、世界各地から集まる学生と探究をしている。

 

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