働き方改革を推進するにあたり、最初に受容すべき多様性は何か

(株)NEWONEの上林です。
「働き方改革」が叫ばれる中、「ダイバーシティ」という言葉もよく聞かれます。
その中で、「働き方改革」の推進と「ダイバーシティ」という言葉との関係において、個人的にややしっくりきていないこともあり、その点について改めて言葉に落としてみたいと思います。

ダイバーシティとは


もともとはアメリカにおいてマイノリティーや女性の積極的な採用、差別ない処遇を実現するために広がったもの。その概念が広がりを見せ、人権等の本質的な観点だけでなく、将来的な少子高齢化による労働力人口の減少等に対応した人材確保の観点から取り組む企業が増加しているともいわれています。(出典:コトバンク)

最近では、ダイバーシティという言葉だけでなく、Diversity and Inclusion(多様性の受容)とも聞くことがあります。
「労働力人口が減っていく中で、労働力の確保の観点から大事だ」
「コンプライアンスが叫ばれる中、多様な人を受け入れる企業姿勢が求められる」
「違うタイプの人とのコラボレーションが新しいイノベーションが生まれる」
というメッセージなど、様々な使われ方がされています。

一方で、ダイバーシティ&インクルージョンと謳えばすぐにできるというわけでは決してなく、思ったよりも進まないことも多いです。
そして、それは「働き方改革」というものを推進するときでも、よく見られます。

多様性とはいかなるところにも潜む


例えば、働き方改革が進むにあたり、「働く」ということにも、様々な価値観に分かれます。

「長時間働いても得られるものは少ないだろうから、早く帰って自分の時間で勉強をしよう」
というような「働き方改革」に対する推進意見がある一方で、

「若いころは狂ったように働いて、それのおかげで力を伸ばし、今がある」
というような「働き方改革」に対する否定意見もあります。

「効率よく働いて定時(やそれより早く)帰っても成果を出す。それがイマドキの働き方でしょ」
というような「働き方改革」に対する推進意見がある一方で、

「定時で帰れと言われても、、、、結果を残すためにはサービス残業しかないじゃない」
というような「働き方改革」に対する否定意見もあります。

それ以外も含め、様々な価値観があるのは事実です。

ダイバーシティという言葉が、「マジョリティ」と「マイノリティー」という構図で捉えてしまうことがあります。そうなると、「働き方改革」は今までの環境下で働いていたマジョリティな人と、条件付きで働くことが難しかったマイノリティーな人という構図に目が行きがちです。
一方で、上記のような「働く」ということに対する価値観として見るならば、今までの環境下で働いていた人の中でも、多様な価値観があることになり、そこもまたダイバーシティなのです。
我々は、大きな「マジョリティ」と「マイノリティー」の構図に目が行くことによって、一人ひとりの価値観の多様性を、見過ごしてはいないでしょうか。

幹部育成。大きく変容した人は、まずは受容からだった


過去、多くの中堅や管理職社員に対して、自己変革を促すプログラムを実施してきました。
その中で、ずっと鬼軍曹と呼ばれ変わらなかった人が、プログラムを起点に大きく変容を遂げ、最年少部長に昇格するようなことがありました。
数年後、その方に、なぜあのタイミングで変わったのですか?と問うと返ってきた答えは、「今まで何度も鬼軍曹と言われ、それがダメだとも言われてきた。一方で、今回は、今鬼軍曹であること、また過去そういう経緯があったことを肯定し、その良さも認めた上で、変革を促されたので、変わろうと思うようになった」というものでした。

人間は感情の生き物。
頭でわかっていてもなかなか受け入れられるものではありません。そういうものだからこそ、何か変化を求めるならば、現状と過去の経緯を受け入れる。その受容こそが、変化につながるし、これがダイバーシティ&インクルージョンで謳っていることではないでしょうか。

一人ひとりの価値観を受容し、後押しすることが大事


「働き方改革」を推進する中で、抵抗姿勢を見せる方もいる中で、大事なことはそういった今及び過去の経緯を受け入れ、その上で、変化を促すことができるか。今までの環境下で働いてきた方々への認知転換と後押しが何よりも大事なことだと思います。

それが、「ダイバーシティ&インクルージョン」で語られる、受容でもあると思います。

多様性の受容と謳っている人は、身近な人の多様な労働観に対して本当に受容しているのでしょうか。
この「働き方改革」が叫ばれる時代の中で、改めて考えてみたい問いだと思っています。

 

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■プロフィール
上林 周平(kambayashi shuhei)

大阪大学人間科学部卒業。
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。
官公庁向けのBPRコンサルティング、独立行政法人の民営化戦略立案、大規模システム開発・導入プロジェクトなどに従事。
2002年、株式会社シェイク入社。企業研修事業の立ち上げを実施。その後、商品開発責任者として、新入社員~管理職までの研修プログラム開発に従事。
2003年より、新入社員~経営層に対するファシリテーターや人事・組織面のコンサルティングを実施。
2015年より、株式会社シェイク代表取締役に就任。前年含め3年連続過去最高売上・最高益を達成。
2016年、若手からのリーダーシップを研究するLeadership Readiness Lab設立し、代表に就任。
2017年7月、「和×人材育成」をコンセプトにした和の大学株式会社を設立。
2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、生産性向上やイノベーションなどを支援する株式会社NEWONEを設立。
米国CCE.Inc.認定 キャリアカウンセラー

 

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