「働き方改革」時代の管理職が持つべきビジョン(4)

「働き方改革」で大きく変わる組織内部。
そういった中で、管理職はどうあるべきか。今回は「自分という観点」やらねばならないビジョンではなく、自分が成し遂げたいビジョンであるかどうかという観点から見ていきたいと思います。

人を惹きつける前提として、そもそも自分は賛同しているのかどうか


そつがなく周りから決して悪くは言われない40代のプレイングマネジャーBさんがいました。周りのメンバーが「ビジョンは掲げているが、Bさんは本当にマネジャーをやりたいのですか?」と質問すると、言葉が止まってしまったいました。「やらねばならない」という思いで日々行動し、そしてビジョンも掲げてみたが、自ら「したい」というような思いが全く含まれておらず、何も言い返すことができなくなっていたようです。

このような人は多くみられます。目指すべきビジョンを書くときに与えられた目標を書いたり、どこの部署でも通用しそうな標語のようなものを書いたりするような人です。責任感が強く、まじめな人に多い傾向でもあります。

しかし、「やらねばならない」で描いたビジョンは、周りだけでなく、自分自身を動機づけることも難しいものです。

野田智義・金井壽宏著「リーダーシップの旅」では、

リーダーになっていくプロセスには3つの段階があり「“リード・ザ・セルフ(自らをリードする)”を起点とし、“リード・ザ・ピープル(人々をリードする)”、さらには“リード・ザ・ソサエティ(社会をリードする)」”へと段階を踏んで変化していく」

とあります。目指すべき方向性であるビジョンに対して、まず自分が前に進んでいると、いつの間にか振り返ると人がついてきているという状態なになるものだというメッセージです。人が動きたいか動きたくないかの前に、まずは自分が動きたいと思い、前に進むことこそが、リーダーシップを発揮する上で大事なものです。

やらねばならないビジョンではなく、自分が成し遂げたいビジョンを描く


そういった中で、「やらねばならない」ではないビジョンを描くためには、以下2つが大事だと感じます。

まず1つ目としては、自らが何を大事にして仕事をしているのかを認識し、それにそったビジョンであるかどうかを考えてみることです。例えば、「創造(新たなものを創りだす)」を大事にして仕事をしている人であるならば、そのビジョンには「創造」ができる可能性があるのかというようなものです。また、「人とのつながり」を大事にして仕事をしている人であるならば、そのビジョンには、部署内外の人とのつながりが促進されるような内容になっているのかです。
ビジョンを描くために、自ら働く上で、マネジャーとして大事にしている信念を見つめることが重要です。信念が含まれると、ビジョンに自分の色が出てくるものです。

2つ目としては、自らの役割や制約条件にとらわれ過ぎずに「自分自身はこの部署全体で、どのような価値を提供していきたいのか」「自分自身は、どのような組織状態で働きたいと思っているのか」を考えてみることです。「やらねばならない」をすべて外してみた時に、自分が本当に「したい」ことが現れるものです。それを見つめることで、改めて自組織のビジョンが、自分自身が動きたいビジョン、すなわち、自分が成し遂げたいビジョンになっているかを再検討することが重要です。

「働き方改革」とは、自分の生き方を見つめるもの


「働き方改革」という言葉があふれる中で、残業抑制などの文脈に引っ張られていることも多く見られます。本来的には、その先には多様な働き方であり、自分ならではの価値を発揮することによるやりがいの充実があり、それは、”自分の生き方”をデザインすることでもあると思います。どのような人生を歩みたいか、仕事を通じてどのような価値を発揮したいか、どのような貢献をしたいか。それらは、まさしくビジョンそのものです。

ビジョンがお題目にならず、自分や周りのためにも、

  1. 対上(周囲から求めらること)の観点
    上から与えられた目標ではなく、自分の頭で考え抜いたビジョンであるかどうか
  2.  対下(部下への伝達)という観点
    部下にやるべきことを伝えるではなく、部下の力を引き出すビジョンであるかどうか
  3.  自分という観点
    やらねばならないビジョンではなく、自分が成し遂げたいビジョンであるかどうか

という観点から見直し、「働き方改革」時代の管理職が持つべきビジョンとして掲げていただきたいと思います。

※前回までのコラムはこちら



 

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■プロフィール
上林 周平(kambayashi shuhei)

大阪大学人間科学部卒業。
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。
官公庁向けのBPRコンサルティング、独立行政法人の民営化戦略立案、大規模システム開発・導入プロジェクトなどに従事。
2002年、株式会社シェイク入社。企業研修事業の立ち上げを実施。その後、商品開発責任者として、新入社員~管理職までの研修プログラム開発に従事。
2003年より、新入社員~経営層に対するファシリテーターや人事・組織面のコンサルティングを実施。
2015年より、株式会社シェイク代表取締役に就任。前年含め3年連続過去最高売上・最高益を達成。
2016年、若手からのリーダーシップを研究するLeadership Readiness Lab設立し、代表に就任。
2017年7月、「和×人材育成」をコンセプトにした和の大学株式会社を設立。
2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、生産性向上やイノベーションなどを支援する株式会社NEWONEを設立。
米国CCE.Inc.認定 キャリアカウンセラー

 

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