「働き方改革」時代の管理職が持つべきビジョン(1)

NEWONEの上林です。

「働き方改革」で大きく変わる組織内部。
一方で、その組織の中核である管理職は、難しい面が増えている現状です。

そういった中で、管理職はどうあるべきか。
その状況を打破するためのヒントを、これから4回に分けてお伝えいたします。

今回は、管理職が掲げる「ビジョン」という観点から、打破していくポイントについて考えてみたいと思います。

忙しい管理職の実態


「寝不足です。」
2日間のマネジャー(管理職)向け研修でのAさんの2日目冒頭の第一声。1日目夜の研修終了後に会社に戻り、1日不在となったために溜まった仕事を、その日中に対応しなければならず、夜中まで仕事。その後も、休憩時間は常に電話とメールをし、仕事に追われていました。

研修を提供する中で、このようなマネジャーの方と会うことは多いです。常に何かに追われながら、真面目に必死で仕事をしている。終わることのない忙しさを、労働時間を投資することで、何とか対処している状況。

内閣府の「平成29年版 高齢社会白書(全体版)」によると、2010年に12806万人だった日本の人口は、2015年には12709万人になり、2050年には10192万人、2060年に9284万人にまで減少すると予想され、日本の国内市場という観点では縮小していくのは明確です。経営陣から売上拡大という企業の成長を求められたとしても、国内市場が厳しいのは直視しなくてはならない事実です。

その一方で、成長を維持するためには、海外市場に目を向けざるを得ない企業がほとんどであり、海外進出の流れはこれからも止まることは無いでしょう。また、海外進出だけでなく、国内においても外国人採用は当たり前になってきており、日本語の話せない外国人が新入社員として入社してきているケースも出てきています。

グローバル化だけでなく、急速なIT化やAI化が進み、それ以外にも、ダイバーシティーマネジメントやワークライフバランス、働き方改革、コンプライアンスなど、マネジャーにのしかかってくるものは非常に多いです。市場環境、社内環境が急激に変化する中で、その中心となって推進していくことが求められるマネジャー。このような環境変化において、忙しいのは当然のことです。

マネジメントの仕事には、魔法の杖がない


変化が激しい環境に加えて、「働き方改革」が進む中でのマネジャーは、上からも下からもさまざまなことが求められます。それだけ求められれば、忙しいのも当然であり、かつ、産業能率大学の「上場企業の課長を取り巻く状況に関する調査」によると、課長の99%がプレイヤーを兼務しているという結果すら出ています。もはや、マネジメント専任のマネジャーなど、今の世の中、ほとんど存在しないのが実情。

では、このような時代において、マネジャーが意識すべきことは何でしょうか。

『経営者の役割』の著者であるチェスター・バーナードは、マネジャーの役割を「矛盾する要素、直観、利害、環境、立場、理想の折り合いをつけることこそ、マネジャーの役割」と表現しています。「解決する」とは言わずに、「折り合いをつける」という言葉をあえて使ったことが、マネジャーの仕事は方程式のように簡単に解決する種類のものではないという意思が感じられます。
また、『マネジャーの仕事』の著者でもある経営学者ヘンリー・ミンツバーグは、「成功するマネジャーは、誰よりも大きな自由を手にしている人物ではなく、手持ちの自由を最大限活用できる人物のようだ」と表現し、簡単に大きな自由を手に入れるような魔法の杖はないという前提に立っています。

魔法の杖が無い中で、多数のやるべきことがある中、どのように優先順位を付けて行くのでしょうか。

何を優先すべきかの指針となるビジョン


経営学者ドラッカーの言葉に「変化はコントロールできない。できることは、先頭に立つことだけである」という言葉があります。自らが先頭に立たないと、外部の変化に自分がコントロールされてしまい、終わりのない忙しさからどんどん疲弊していくものです。

先頭に立つということは、自分がマネジメントする組織をどうしていきたいのかという自らの意志を持つことです。上層部から言われたことをただ部下に伝えるだけではなく、意志を持つことで、周りからの必要以上のコントロールを防ぎ、組織をより良い方向に導いていくことに繋がります。
では振り返った時、「自分がマネジメントをする組織をどのようにしていきたいのか」という問いへの答えを明確に持っているでしょうか?

働き方改革含め変化が激しく、何を優先すべきなのかがわかりにくいからこそ、マネジャーは意志をもって、自分たちがどちらの方向に進んでいくのかというビジョンの明示が重要になってきます。そして、それはただの方向性ではなく、何を優先すべきかがわかり、かつ皆が動機づくものであることが望まれます。

では、そういったビジョンを描くにあたり、どのような観点が大事かということに対して、次回以降に、

1. 対上(周囲から求めらること)の観点
上から与えられた目標ではなく、自分の頭で考え抜いたビジョンであるかどうか

2. 対下(部下への伝達)という観点
部下にやるべきことを伝えるではなく、部下の力を引き出すビジョンであるかどうか

3. 自分という観点
やらねばならないビジョンではなく、自分が成し遂げたいビジョンであるかどうか

という観点から、「働き方改革」のこの時代に管理職が持つべきビジョンの重要なポイントについて考えていきたいと思います。

 

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■プロフィール
上林 周平(kambayashi shuhei)

大阪大学人間科学部卒業。
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。
官公庁向けのBPRコンサルティング、独立行政法人の民営化戦略立案、大規模システム開発・導入プロジェクトなどに従事。
2002年、株式会社シェイク入社。企業研修事業の立ち上げを実施。その後、商品開発責任者として、新入社員~管理職までの研修プログラム開発に従事。
2003年より、新入社員~経営層に対するファシリテーターや人事・組織面のコンサルティングを実施。
2015年より、株式会社シェイク代表取締役に就任。前年含め3年連続過去最高売上・最高益を達成。
2016年、若手からのリーダーシップを研究するLeadership Readiness Lab設立し、代表に就任。
2017年7月、「和×人材育成」をコンセプトにした和の大学株式会社を設立。
2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、生産性向上やイノベーションなどを支援する株式会社NEWONEを設立。
米国CCE.Inc.認定 キャリアカウンセラー

 

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